https://www.jbc.org/article/S0021-9258(25)02269-0/fulltext
ラミニンはα/β/γサブユニットから構成され、細胞の行動を制御する組織特異的な機能を果たします。ラミニン-α2鎖は、グリア細胞やシュワン細胞などの神経成分や筋肉において高発現しています。マクロファージは組織の恒常性維持と修復に重要な役割を果たし、ラミニンはマクロファージの動態に影響を及ぼします。インテグリンα7は、細胞-マトリックス相互作用を調節する重要な膜貫通受容体であり、ラミニン-α2に対して高い親和性を示しますが、マクロファージにおけるその機能は不明です。本研究では、インテグリンα7シグナル伝達の喪失が、ラミニン-α2鎖上で培養されたTHP-1由来マクロファージおよび顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)で誘導された一次単球由来マクロファージ(MDMs)において、樹状細胞(DC)様表現型を引き起こすことを発見しました。インテグリンα7の機能的阻害は、THP-1由来マクロファージの樹状突起様突起を誘導しました。遺伝子発現解析ではDCマーカーと共刺激分子が検出され、共培養実験ではDC様細胞がT細胞の増殖を刺激することが示されました。インテグリンα7の機能的阻害は、PI3K-p85αのレベルを低下させ、PI3Kを活性化し、その結果AKTを活性化しました。ラミニンα2鎖上で培養されたMDMsは、インテグリンα7の発現を低下させ、樹状突起様形態を示し、DCマーカーと共刺激分子の発現が増加しました。これらの結果は、サイトカイン環境の既知の影響に加え、DC分化がラミニンα2/インテグリンα7を介した細胞接着によって調節されることを示唆しています。