https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0003996926001779
【背景と目的】 ビスホスホネート系薬剤の投与に伴う顎骨骨壊死(BRONJ)の研究では、これまでマウスやラットなどの「げっ歯類」が広く用いられてきました。しかし、小動物では臨床で問題となる重症な病態(広範囲な骨露出や骨壊死を伴うステージ2〜3)を再現することに限界がありました。本研究では、ヒトに近い顎骨構造や骨代謝回転を持つ「非げっ歯類大型哺乳類(ウサギ、犬、ブタ、ヒツジ)」を対象に、ゾレドロン酸投与と歯科処置によって高度なBRONJ(ステージ2)を再現するための最適な実験条件(動物種、投与量、投与経路、外科的トリガー)を系統的レビュー(Systematic Review)により検証・特定することを目的としました。
【結果と成果】
-
主要な誘発条件の特定:23件の対象研究を比較分析した結果、高用量のゾレドロン酸の「静脈内投与」と「臼歯抜歯などの局所的刺激」を組み合わせることで、ミニブタ、犬、ヒツジなどの大型動物において再現性高くステージ2 BRONJが誘導されることが示されました。
-
臨床的・組織学的病態の再現:誘発されたモデルでは、ヒトのBRONJと同様に「持続的な骨露出」「空の骨小腔(骨細胞死)の増加」「壊死骨領域の拡大」といった組織学的・微細CT(micro-CT)学的な特徴が確認されました。
-
動物種の特性:特にブタやヒツジなどの大型動物モデルは、ヒトと類似した高次な骨改変(ハバース系・皮質骨のリモデリング)を有するため、臨床的に極めて病態再現性が高いことが実証されました。
【結論と展望】 標準化された大型動物モデル(非げっ歯類モデル)を用いることで、ヒトの高度なBRONJ(ステージ2)の病態を正確に模倣・再現できることが明らかになりました。本成果は、BRONJの発症メカニズムの更なる解明のみならず、新規治療法や外科的再生療法の開発・評価に向けた信頼性の高いトランスレーショナル研究基盤を提供するものです。
